住宅においてもっとも気を付けたいことが、騒音に関するトラブルです。マンションなどの集合住宅では、ペットや楽器などを使用していなくても、ちょっとした生活音が気になってしまう場合があります。
騒音対策としてもっとも効果的なのが、防音工事です。費用をかけて住宅に大きく手を加えますが、大きな防音効果が得られるでしょう。

そのほか、簡単な方法になりますが、吸音材や防音材、遮音材を個人で使用する方法もあります。今回は、吸音材によって得られる効果について、防音材や遮音材、防音工事との違いを比較しながら詳しく解説します。

音の性質を理解したうえで適切な防音対策を考える

吸音材や防音材、遮音材と呼ばれるものは、どれも防音効果を高めるために使用されるものですが、それぞれ役割は異なります。複数の素材を用いて防音効果を高めなければならないのは、そもそも音が伝わる仕組みに関係があります。

そもそも、音はどのように伝わるのか見ていきましょう。基本的に、音は目に見えるものではなく、物が振動することで発生した波そのものです。目に見えない振動の波ですので、伝わり方に違いはあれど気体や液体、固体でも伝わります。
この性質の都合上、真空では音が伝わりません。振動の波が気体や液体、固体を通じて人の耳に入り、鼓膜が揺れることでできた信号が脳に伝わって音として認識します。

音には周波数があります。高すぎる、あるいは低すぎても人は音として認識できる周波数の限界があるのです。この限度はおよそ20〜20,000Hzだとされており、ピアノの鍵盤におけるもっとも高い音ともっとも低い音がわかりやすい例です。日常的に、騒音の原因となる音は、63~4,000Hzの範囲において1,000Hzを基準とした対数尺度を使用して示されます。

3種類に分けられる騒音

騒音とは、3種類に分けて考えられます。軽量衝撃音と重量衝撃音、空気伝播音です。

軽量衝撃音とは、軽くて比較的小さなものが落下した際に発生する「カツーン」といった音。一方で重量衝撃音は、大きなものを落とした際に発生する「ズシーン」といった音です。これらは床を通じて下の階に伝わりやすいため、上階にお住まいの方はとくに気を付けなければいけません。
空気の振動によって壁を超えて聞こえる騒音が、空気伝播音です。人の話し声やスピーカー、家電などから出る音が挙げられます。

騒音に対して最適な防音材を使用することが大切

防音材とは、騒音対策などのために使用される吸音材や遮音材といったものの総称です。

吸音材は音を吸い込むもの、遮音材は音を遮断する性質を持っています。最適な防音対策を行うためには、それぞれの騒音の性質を理解したうえで、防音材を適切な形で利用することが大切です。
吸音材は音を吸い込むため、ふわふわとした素材であることが特徴です。おもに、グラスウールやロックウールなど、これらはとくに効果の高い吸音材として挙げられます。

遮音材は音をシャットアウトする固くて重い素材です。高い防音効果を得るためにはコンクリートがポイントとなりますが、個人で使用できる遮音材というと遮音シートや鉛シートが挙げられるでしょう。

【騒音別】防音材の使い方

軽量あるいは重量衝撃音、そして空気伝播音と3つに分類できる騒音に対して、最適な防音材の使い方を見ていきましょう。

固体伝播音に対する最適な対策

軽量衝撃音や重量衝撃音、これらはまとめて固体伝播音とも呼ばれます。主に物を落としたり、足音だったりが原因となるのが特徴です。

壁や床といった固体に対してよく伝わってしまうので、そういった箇所に最適な防音材を使用します。壁や床に振動が伝わりやすいと騒音が聞こえてしまうので、できるだけ揺れにくい建物を作ることが大切です。
加えて、壁や床に伝わる振動を吸収するために、吸音材や吸音効果の高い床材を使用します。

空気伝播音に対する適切な対策

車の騒音や人の話し声など、こういった空気伝播音をシャットアウトするためには、まず隙間を埋めることが大切です。使用する素材は、重くて振動が伝わりにくいものを選びましょう。

とくに、空気伝播音は窓ガラスのように薄い部分からよく伝わってしまいます。窓として使用するために防音材を全体的に使用するわけにはいきませんが、できるだけ隙間を埋めたり、二重窓にしたりするなどして対策しましょう。躯体の部分に吸音材を用いることで、振動の伝達を抑えられます。

もし、住宅などで個人的に騒音対策をするのであれば、壁に対してまずは遮音材を貼り付けて、隙間を埋めることが大切です。その遮音材の上にグラスウールといった吸音材を貼り付けることで、吸収した音が遮音材でシャットアウトされ、高い防音効果が得られるでしょう。

個人で行う防音対策の限界

とくに集合住宅においては、ペットを飼っていたり楽器の練習をしていなかったりしたとしても、ちょっとした生活音によって隣人に迷惑をかけてしまうかもしれません。そういった生活音で隣人に迷惑をかけないためには、掃除機や洗濯機などを稼働させる時間帯を調整したり、できるだけ足音をたてないようにしたり、夜は話し声やテレビの音を最小限にしたりすることが大切です。

楽器や歌唱などの練習を行いたい場合に関しては、日中でも大きな音が周囲に伝わってしまうため、一般的な住宅ではどの時間帯でも避けるべきでしょう。楽器や歌唱などの練習を自宅で行いたい方は、本格的な防音対策を考える必要があります。吸音材や遮音材といった防音材を組み合わせて使い分けることで、それなりの防音効果が得られるでしょう。しかし、完全な防音対策ではありません。どれだけ吸音材や遮音材を上手に使用しても、完全に周囲に伝わる音をシャットアウトすることは難しいのです。

また、個人で行う防音対策には危険がともないます。床の場合、遮音材や遮音効果のあるカーペットなどを敷くだけで簡単に防音対策が行えます。しかし、壁の場合は防音材を貼り付ける必要があります。もっと大変なのは、天井です。天井も適切な防音対策を行わなければ隣人に迷惑をかけてしまう恐れがあります。複数の防音材を貼り付けると、かなりの重量になります。

とくに、重い素材を選ぶことになりやすい遮音材は相当の重量です。個人で行える範囲で防音対策を行った結果、天井に貼り付けた防音材が落下してしまい、大切な家具や楽器などが下敷きになるかもしれません。また、人やペットが下敷きになった際、怪我は免れないでしょう。

本格的な防音対策を行いたなら防音工事がおすすめ

個人で行う防音対策には限界があるため、本格的に手を加えたいのであれば防音工事をご検討ください。
住宅の種類によって行える防音工事は制限されますが、高い防音効果が得られるでしょう。

たとえば、賃貸や住宅の上階にお住まいであったり、予算が制限されたりする場合は、組み立て式の小型防音室の購入がおすすめです。とくに性能が高いものに関しては100万円以上するものがありますが、高い防音効果が得られます。

完全に音をシャットアウトできない場合もありますが、壁や扉を隔てればほとんど無音にできます。
個人で所有している住宅だったり、大きく手を加えることが許可されていたりする物件であれば、部屋をまるごと防音室に変える防音工事が行えます。
費用としてはかなりの額がかかりますが、プロの建築士によって本格的な防音室が手に入るでしょう。

防音工事を行う3つのメリット

防音工事を行うことで、大きな3つのメリットが得られます。

1.騒音トラブルを解消できる

防音工事によって本格的な防音設備が整えられれば、騒音トラブルを解消できるでしょう。防音材を活用した個人で行う防音対策とは異なり、外からも中からも完璧に邪魔な音をシャットアウトできます。
周囲に迷惑をかけることはありませんし、逆に近隣の騒音に悩むこともなくなるでしょう。

2.昼夜を問わず自由に大きな音をたてられる

騒音に関しては時間帯に関係なく気をつけるべきですが、夜はとくに注意しなければいけません。静かな時間帯には、昼間よりもちょっとした音が響きやすくなってしまうのです。完璧な防音対策が実現できれば、昼夜を問わず自由に大きな音をたてられるようになるでしょう。

3.子育ての頼もしい味方になる

小さな子どもがいる家庭にとって、子育ては楽しくも大変な道のりに感じられるかもしれません。とくに、まだ小さい子どもの夜泣きは、わかっていても周囲の迷惑になってしまいます。
防音設備が整っていれば、子どもが夜泣きしてしまった際に使用することで、周囲に迷惑をかけないで済むでしょう。

防音工事を行う2つのデメリット

防音工事によるメリットは大きいですが、デメリットも存在します。
2つのデメリットを踏まえておきましょう。

1.相応の費用がかかる

防音工事では建物に大きく手を加えるため、相応の費用がかかります。
簡易的な組み立て式の防音室ならまだ手が届きやすい範囲ですが、部屋を丸ごと工事するにはかなりの金額となるでしょう。

2.部屋が狭くなる

防音工事では、壁や床、天井に対して防音材を埋め込むなどして本格的な防音対策を実現します。
壁や床、天井が分厚くなるため、その分部屋が狭くなってしまうことを了承しておきましょう。

防音材の活用によって実現できる防音対策

吸音材や遮音材など、これら防音材を活用することで、防音対策が行えます。日々の暮らしのなかで、周囲に対して騒音で迷惑をかけてしまっているかもしれません。

また、逆に周囲からの騒音で悩まされている人もいるでしょう。騒音でお悩みの方はぜひ、防音材を活用した防音対策をご検討ください。
本格的な防音室を手に入れたい方は、防音工事もご検討しましょう。