ピアノやギターなど、自宅で楽器を練習する際に気になるのが防音対策です。

ひとくちに防音対策といっても、遮音・吸音・防振・制振の4つの対策方法があります。

各対策方法の仕組みを、音の性質や伝わり方と同時に理解しましょう。これらの対策をうまく組み合わせて優れた防音効果を得ることができるようになります。

こちらの記事では、防音についてくわしく解説いたします。参考になさってください。

防音とは

音の性質について

防音とは、室内の音が外に漏れるのを防ぐ、あるいは外の音が室内に入るのを防ぐことをいいます。

窓を閉めただけでは外に音が漏れるのを防ぎきることは難しく、また、集合住宅であれば階下への音漏れも心配です。そこで、防音対策が必要です。

しかし、ひとくちに防音といっても、その実現方法は1つではありません。

それらの方法を見ていく前に、まずは音の性質について理解しましょう。

音は振動によって発生し、波の形で伝わる

物体を叩くと音が出ますが、これは、叩かれた物体が振動し、その振動が周囲の空気に伝わって、最終的に鼓膜に到達することで音として聞こえるためです。

振動する物体がなければ、音は発生しません。また、発生した音は、周囲に振動を伝える物体(空気など)がなければ伝わりません。

なお、この振動は波の形で伝わります。「音波」という言葉もあるように、音は波の性質を持っているのです。

防音は、この「音は波である」という性質を考慮して行います。

音の大きさも高低も波の形に依存する

波の形は、上下に振動するときの振りの大きさを示す「振幅」と、1秒間に何回振動するかを示す「周波数」で決まります。

音の場合、振幅が大きいと大きな音、振幅が小さいと小さな音になります。また、周波数が大きいと高い音、周波数が小さいと低い音として聞こえます。

つまり、波の形によって、音の種類が決まるのです。

防音には4つの方法がある

4つの防音方法

波の性質を持った音が漏れないようにする「防音」には、次の4つの対策方法があります。

  • 遮音(しゃおん)
  • 吸音(きゅうおん)
  • 防振
  • 制振

通常、防音は、このうちのいずれか、または複数を組み合わせて実現します。

具体的には、それぞれの効果を持つ素材を壁や床、天井、振動体などに使うことで、防音効果を高めるわけです。

遮音・吸音・防振・制振のそれぞれの仕組みについて、くわしく見ていきましょう。

遮音による防音

遮音(しゃおん)とは、字のとおり「音を遮(さえぎ)る」ことにより防音を実現するものです。具体的には、音を反射させて、それ以上先に伝わらないようにします。

遮音に使われる遮音材は、材質によって遮音できる周波数が変わります。そのため、遮音したい音の高低によって、遮音材を選ぶことが重要です。

また、あまり遮音性を高めてしまうと、音が反射しすぎて室内で反響してしまい、音が聞きづらかったり、聞き疲れしたりする場合があります。

 

なお、遮音材を使って十分な遮音対策を施していても、隙間があればそこから音が漏れてしまいます。

ドアに隙間があればクッションテープなどで埋める、窓を二重サッシにするといった対策のほか、排気口や換気扇などへの対策もきちんとしておきましょう。

遮音がおすすめの楽器

遮音は、ほぼすべての楽器におすすめの防音対策といえるでしょう。

ピアノをはじめとして、ギターなどの弦楽器、トランペットなどの金管楽器など、周囲への音漏れが気になる楽器の練習時には、遮音による防音対策が必須です。

代表的な遮音材

遮音材として使われるものとしては、石膏ボードやコンクリート、鉄板などがあります。

いずれも硬く重量のある素材で、音がぶつかっても、遮音材自体が振動しにくいため、外側に音を伝えにくいというのが特徴です。

コンクリートの壁にボールをぶつけると跳ね返ってくるのをイメージするとわかりやすいでしょう。

なお、壁際に重い家具を設置したり、窓に厚手のカーテンを吊り下げたりするだけでも、遮音効果が得られます。

吸音による防音

吸音(きゅうおん)とは、音を吸収することによって間接的に防音効果を得るものです。

吸音材は、そのほとんどが、小さな穴が無数に空いた多孔質素材でできています。音の波が吸音材の穴の中を通過する際に摩擦が生じ、その結果、波が減衰する(小さくなる)ため、吸音材の外に漏れる音を小さくできるという仕組みです。

ただし、防音性はそれほど高くはありません。

吸音による防音は、たとえば、コンサートホールや地下街など、大勢の人が集まる場所でよく利用されます。これら広い空間では、会話が反響して聞こえづらくなる場合が多いです。吸音材を使えば反響が抑えられ、必要な音がクリアになって聞き取りやすくなる効果があるためです。

同様に、エンジン音や音楽などがせまい車内で反響しないように、自動車にも吸音による防音対策が施されています。

とはいえ、吸音性を高めて反響音をなくしすぎると、音の厚みが少なくなり、物足りなさを感じることもあります。

なお、周波数の高い高音は、低音より吸収されやすいのが特徴です。

吸音がおすすめの楽器

吸音も遮音と同じく、ほぼすべての楽器におすすめしたい防音対策方法です。

とくに、金管楽器のような硬めの音を出す場合は、遮音だけでは反響が大きくなってしまうため、吸音を併用すると効果的でしょう。

代表的な吸音材

代表的な吸音材には、グラスウール、ロックウール、フェルトなどがあります。いずれも、音が内部に入りやすい構造であるのが特徴です。

防振による防音

楽器の音や話し声など、振動する物体から発生する音を防ぐだけが防音ではありません。

たとえば、家の前の道路をトラックが通過したときの振動や、上階の洗濯機の振動、壁に接するように置かれた室外機のモーターの振動などが、壁や床、天井に伝わって「騒音」と感じるケースがありますが、これらの騒音に対する防音対策として有効なのが、防振です。

防振とは、字のとおり「振動を防ぐ」こと。壁や床、天井が振動しなければ、前述のような騒音は伝わってきません。

集合住宅における騒音問題には、この防振による防音が効果的です。

遮音や吸音が空気中を伝わってくる音(空気伝播音)に対する防音対策なのに対して、防振や制振は、物体から物体へ振動(音)が伝わる「個体伝播音」に対する防音対策なのです。

防振がおすすめの楽器

床に置いて演奏する打楽器は、振動が直接床に伝わりやすいです。なかでも、ドラムはその代表的なものといえるでしょう。そのため、ドラムを演奏する際には、ドラムセットの下全体に防振マットを敷くことをおすすめします。

全体に敷くことが経済的に難しい場合は、ペダルやスタンドの下にピンポイントで設置する防振アイテムを利用してもよいでしょう。

また、意外に見落とされがちなのが、ピアノを弾くときの振動です。ヘッドフォンを使って電子ピアノの練習をしているから防音対策は万全と思っていても、鍵盤をたたくときの振動や、ペダルを踏むときの振動は、床に伝わってしまいます。

そのため、とくに集合住宅の場合は、防振マットをピアノの足の下に敷くなどの対策を施しておくほうが安心です。

ほかに、ギターなどの弦楽器についても、弦の振動をスポンジなどで吸収させて音を小さくする対策が用いられますが、これも防振による防音といえます。

代表的な防振材

振動を吸収して伝わりにくくする防振材には、ゴム(ラバー)マット、フェルト、コルク、発泡スチロールなど、柔らかい素材のものが多く使われます。

なお、フローリングや畳の床に厚手のカーペットを敷くだけでも、防振効果が得られます。

制振による防音

振動を吸収することによって振動の伝わり方を低減させる防振に対して、制振とは、物体の振動自体を低減する防音対策です。

たとえば、防振対策ではゴムマットなどの防振材の上に振動体を置くことで、振動が下に伝わりにくくします。

いっぽう、制振対策は、振動体の振動そのものを抑えることにより、振動(音)を出さないようにする仕組みです。

よく使われている例としては、冷蔵庫や洗濯機、エアコンなどの外側のカバーに制振材を取り付けるものです。モーターの回転による振動がカバーに伝わっても、カバー自体が振動しにくくなるため、音が周囲に漏れにくくなります。

制振がおすすめの楽器

音の響きが素晴らしいグランドピアノには、制振による防音対策がおすすめです。グランドピアノの下部の振動がその響きに一役買っているのですが、ここに制振シートを取り付けることで、振動を抑えることができます。

また、ギターのブリッジに取り付けるサイレンサーも、ブリッジやサドル部分の振動を抑えて音を小さくする仕組みとなっており、制振による防音対策のひとつです。

代表的な制振材

制振材は振動体にピッタリと貼り付けて使うため、ほとんどがシート状になっています。

代表的な制振材には、ゴムシートや鉛シートなどがあります。なかには粘着剤付きのものもあり、取り付けが簡単にできるのでおすすめです。

4つの防音対策を効果的に組み合わせると同時に、密閉対策にも注意を

遮音・吸音・防振・制振の4つの防音対策方法は、防ぎたい音の種類や、得たい音響効果に合わせて適切に組み合わせることが重要です。

また、いくらそれらの対策を施していても、ドアや窓に隙間があったり、排気口や換気扇の開口部があれば、音が外に漏れたり外からの音が室内に入り込んだりします。

効果的な防音対策を施すと同時に、部屋の密閉についても十分な対策を講じることが大切です。

弊社、昭和音響では用途に合わせた防音工事を承れます。

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