自宅周辺で発生する騒音に悩まされているのなら、住宅の防音工事を行うのがおすすめです。
防音工事には多額の費用がかかりますが、一定の条件を満たしていれば、国や自治体から補助金を受け取ることができます。

補助金が支給されれば施工コストを大幅に軽減できますので、防音工事を検討されている方は、自分が補助金の対象かどうか、一度確認してみましょう。

今回は、防音工事でもらえる補助金の種類や申請方法についてわかりやすく解説します。

防音工事でもらえる補助金の種類は3つある

防音工事の目的は人によって異なりますが、補助金の支給対象となる事例は、「空港周辺の防音工事」「幹線道路周辺の防音工事」「飛行場周辺の防音工事」の3つに限定されます。
補助金の額は適用される助成制度によって異なりますが、中には防音工事にかかった費用の全額を助成してくれるケースもあります。

自宅の床・壁・窓すべてを防音にした場合、施工費用は数十万円~数百万円に及ぶこともありますので、できれば補助金を申請して、自己負担を軽減したいところです。

ただ、防音工事の補助金を受け取るには、一定の要件を満たしている必要があります。
同じように空港の騒音に悩まされている住宅でも、条件によっては補助金を受け取れる場合と受け取れない場合がありますので、あらかじめ申請要件をしっかり確認しておくことが大切です。

空港周辺の防音工事助成の特徴と申請方法

1967年に制定された「公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律(騒防法)」の第8条の2では、航空機の騒音によって著しい障害が生じると認めた当該指定区域の住宅について、障害を防止または軽減するために必要な工事を助成することと定めています。[※注1]

騒防法の対象となるのは以下14の特定飛行場で、助成要件を満たせば国または指定の団体から防音工事に対する補助金を受け取ることができます。

・函館空港
・仙台空港
・東京国際空港
・成田国際空港
・新潟空港
・大阪国際空港
・松山空港
・高知空港
・福岡空港
・熊本空港
・大分空港
・宮崎空港
・鹿児島空港
・那覇空港

[※注1]:e-GOV法令検索「公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律」

防音工事の補助金の対象となる住宅

国土交通省では、航空機騒音の対策が必要な区域を、1日あたりの騒音レベルを評価する尺度(Lden)に応じて、第1種区域(62dB以上)、第2種区域(73dB以上)、第3種区域(76dB以上)の3つに区分しています。

住宅防音補助は、第1種区域にある住宅から適用されますので、騒音対策区域に建っている住宅なら、補助の対象となる可能性があります。
ただ、騒音対策区域にある住宅でも、次に挙げる要件を満たさなければ補助金を受け取ることはできません。

①未実施住宅:当該区域が騒音対策区域に指定された際、すでに存在していた住宅
②告示日後住宅:当該区域が騒音対策区域に指定されることを告示した日の翌日から、一定期間までに建てられた住宅
②については空港ごとに規定が異なり、たとえば福岡空港の場合は、第1種区域に指定された翌日~昭和57年3月30日に現に所在する住宅を補助金の対象としています。[※注2]

なお、補助事業を行っている団体によっては、防音工事を行ってから一定期間が経過した住宅も補助金の対象としているところがあります。

補助を受けられる要件は団体や自治体ごとに異なりますので、お住まいの地域で住宅防音工事補助を行っている団体に問い合わせてみましょう。

[※注2]:独立行政法人 空港周辺整備機構「住宅防音工事について」

防音工事の補助金額

航空機騒音を原因とする防音工事の補助金額は、地域や防音工事の内容によって異なります。
たとえば成田国際空港の場合、騒音対策として居住人数分の寝室に内窓等を設置した場合、施工費の全部を助成してもらえます。[※注3]

なお、内窓を設置しようとする寝室の壁・天井の工事が省略されている場合は補完工事扱いとなり、居住者の人数に応じて65万円~102.5万円を限度とした補助金が支給されます。
標準的な仕様を超える商品を選択した場合や、限度額を超えた分に関しては自己負担となりますので、商品選択の際はあらかじめ注意が必要です。

一方、新千歳空港の場合は、住宅防音工事の工法および対象室数ごとに限度額を設けており、それを超えない範囲内であれば工事費の全部を助成してもらえます。[※注4]

たとえば既存の天井・壁を撤去し、防音天井と防音壁に改造したり、防音サッシに取り換えたりする「A工法」で2室の工事を行った場合、442万2,000円までなら自己負担なしで防音工事を行えます。
このように、地域によって補助金制度に違いがありますので、防音工事を行う際は事前に要綱をよく確認しておくことをおすすめします。

[※注3]:公益財団法人「成田空港周辺地域共生財団」
[※注4]:公共財団法人 新千歳空港周辺環境整備財団「新千歳空港の24時間運用に伴う住宅防音工事助成金交付要領」

防音工事の補助金の申請方法

防音工事の補助金を受け取るには、あらかじめ申請を行う必要があります。
申請方法も地域によって異なりますが、大まかな流れは以下の通りです。

①補助金の申し込み
②審査結果の通知
③施工業者への支払い
④補助金の交付申請
⑤交付決定の通知
⑥補助金の請求
⑦補助金の支給

多くの場合、施工業者に工事費用を支払ってから、補助金を受け取る流れになります。

幹線道路周辺の防音工事助成の特徴と申請方法

幹線道路とは、全国的、地域的、または都市内において骨格的な道路網を形成する道路のことです。
具体的には高速道路や一般国道、都道府県道などが幹線道路に該当しますが、その他の道路に比べて交通量が多く、昼夜問わず車が行き交うため、周辺住民は騒音に悩まされやすい傾向にあります。

そこで幹線道路をもつ自治体では、「幹線道路の沿道の整備に関する法律(沿道整備法)」第13条に基づき、防音工事に対する助成を行っています。

防音工事の補助金の対象となる住宅

国土交通省が各都道府県知事にあてて通達した「防音工事助成事務処理要領」第2条によると、「道路管理者は、毎年度、当該年度開始前に、沿道整備計画を定めた市町村の協力を得て当該年度に助成を予定する区域(助成区域)、助成予定戸数等に関する年度計画を定めるものとする」とあります。[※注5]

つまり、幹線道路周辺にある住宅のうち、どのエリアが補助金の対象となるのかは、道路管理者に委ねられていることになります。
たとえば東京都の場合、沿線整備道路として指定され、かつ特別区によって防音構造に関する条例の定められた区域がある都道として、「環状七号線」「環状八号線」「中原街道」「笹目通り」の4つを指定しています。

これら4つの都道周辺にある住宅で、道路交通騒音の大きさが夜間65dB以上、または昼間70dB以上ある居室を有する住宅が防音工事助成の対象となります。
ただし、新築する建物や、すでに防音工事助成を受けたことがある建物、あるいはすでに防音構造化されていると判断される建物は対象外になります。

このように、自治体によって防音工事助成を受けられる地域、建物等に違いがありますので、幹線道路周辺にお住まいで、自動車の騒音等に悩まされている方は、所有する物件が助成対象の区域・建物に対応するかどうか、事前に確かめる必要があります。

[※注5]:国土交通省「緩衝建築物の建築費等負担事務処理要領及び防音工事助成事務処理要領について」

防音工事の補助金額

幹線道路周辺の住宅で実施された防音工事を対象に支給される補助金額は、自治体によって異なります。
先に挙げた東京都の場合、都が審査した工事費用の3/4を助成しますが、騒音調査結果に基づく対象室数に応じて助成限度額が設けられています。[※注6]

ここで注意したいのは、補助金額の基準が実際にかかった工事費用ではなく、あくまで東京都が審査した工事費用であることです。
たとえば東京都が審査した工事費用が180万円だった場合、支給される補助金額は180万円×3/4=135万円となります。

実際にかかった工事費用が200万円だったとしても、200万円×3/4=150万円が助成されるわけではないので要注意です。

[※注6]:東京都建設局「防音工事助成」

防音工事の補助金の申請方法

防音工事の補助金を申請する方法は自治体によって異なりますが、ここでは東京都で申請する方法をご紹介します。

①騒音調査の申し込み
②騒音調査の実施、結果の通知
③防音助成の申請
④申請内容の審査
⑤助成契約の締結
⑥防音工事の実施・工事完了届の提出
⑦補助金の請求
⑧補助金の支払い

このうち、申請者が実施するのは①、③、⑤、⑥、⑦の5ステップです。
①~②までの所要期間は約3ヶ月、③~⑤までは約2ヶ月半、完了届の受理後から補助金の支払いまでは約1ヶ月半かかります。

飛行場周辺の防音工事助成の特徴と申請方法

防衛省では、昭和49年施行の「防衛施設周辺の生活環境の整備などに関する法律(環境整備法)」第4条に基づき、自衛隊や在日米軍の飛行場周辺にある住宅を対象とした助成制度を行っています。

航空機騒音の障害を軽減することを目的として制定されたもので、防衛省が定めた住宅防音工事標準仕方書に基づいた防音工事を実施した場合、工事代金を助成してもらえます。

防音工事の補助金の対象となる住宅

環境整備法第4条によると、防衛大臣が防衛施設の周辺の区域(第一種区域)に指定した際、すでに存在する住宅で、かつ「自衛隊等の航空機の離陸、着陸等のひん繁な実施により生ずる音響に起因する障害が著しい」と認められる住宅に対し、防音工事の助成の措置をとるものと定められています。[※注7]

北関東防衛局が実施している住宅防音工事の助成制度の場合、音響の強度・ひん度・継続時間・発生時間帯などの諸要素から、騒音の総量を1日の平均として表す「WECPNL」が75以上の区域を「第一種区域」として定めています。[※注8]

[※注7]:e-GOV法令検索「防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律」
[※注8]:北関東防衛局「住宅防音工事のあらまし」

防音工事の補助金額

自衛隊や在日米軍の飛行場に起因する航空機騒音対策として防音工事を行った場合、原則として工事費の100%が助成されます。
ただし、限度額を超えた場合は自己負担となりますので注意しましょう。

防音工事の補助金の申請方法

北関東防衛局の管轄内で防音工事の補助金を申請する場合の流れをご紹介します。

①住宅防音工事の助成希望届の提出
②対象住宅の確認
③交付申込書の提出
④現地調査の実施
⑤補助金の内定通知
⑥補助金交付申請書の提出
⑦補助金の交付決定通知
⑧防音工事の契約締結・施工開始
⑨工事完了検査
⑩実績報告書の提出
⑪完了確認・補助金の確定通知
⑫請求書の提出
⑬補助金の支払い

申請者が実際に行うのは、①、③、⑥、⑧、⑩、⑫の6ステップです。
⑨に関しては補助事業者および設計事務所が完了検査を実施します。

騒音に悩まされている人は、補助金の対象になるかどうかチェックしてみよう

空港や幹線道路、自衛隊・在日米軍の飛行場に起因する騒音に悩まされている場合、防音工事にかかった費用を国や自治体に助成してもらえる可能性があります。

補助金の対象区域や補助金額はお住まいのエリアによって異なりますので、まずは管轄する役所や団体に問い合わせて、自宅が防音工事助成の対象になるかどうかを確認してみましょう。