ダンススタジオを開校する場合、気をつけなければならないのが防音対策です。
防音対策がしっかりしていないと、近隣住民の方々から苦情が来てしまう恐れがあります。
すぐに対処しないと最悪の場合、ダンススタジオの経営を続けていくことが難しくなる可能性もあります。
またダンススタジオの評判は集客にも直結するので、防音対策には注意を払う必要があります。
この記事では、ダンススタジオの防音対策について詳しく解説します。
ダンススタジオに必要な防音対策とは
ダンススタジオでは、防音対策が不可欠です。
しかし一口に防音対策といっても、ダンススタジオでは複数の騒音に対する対策が必要となります。
では、それぞれの騒音に対する防音対策について見ていきましょう。
空気伝播音
ダンススタジオで考慮すべきなのは、ひとつは「空気伝搬音」です。
空気伝搬音とは、空気中を伝わって聞こえる音のことです。
ダンススタジオでは音楽を使ったレッスンを行うことが多いため、空気伝搬音に対する防音対策が必要となるでしょう。
空気伝播音の対策で効果的なものは、隙間を埋める事や、密度の高い=重たい建材を使用して壁や天井を
作る事です。
また、隙間を埋める事と似てますが、音漏れがしやすいドアや、ガラス面の対策は重要です。
一つには、一般ドアを防音ドアへ変更設置することで音漏れを防ぎ、空気伝搬音による音漏れは減らすことができるます。
防音ドアには、通常の扉にはないゴムパッキンが使われており、隙間を柔軟に埋めて、気密性を高める事で、隙間からの音漏れを少なくする効果が期待できるとともに、ドア自身にも質量を得る為、密度の詰まった重量のある建材やドアの中身には吸音材も充填されており、ドアの面からの音漏れも大きく遮音する効果があります。
簡易的な防音ドアの場合には30dB程度、ダンススタジオなどでは、35dB~40dBの遮音効果を得られる防音ドアがお勧めです。
必要によっては音楽用の防音ドアは45dBや50dB程度の遮音を確保できるドアもあります。
ダンススタジオにはオーバースペックかと思いますが、このようなスタジオ仕様のドアの場合は、ピアノやドラムの演奏のようなかなり大きな音でも音漏れを大幅に抑えられるでしょう。
固体伝播音
先にご説明した空気伝搬音に加えて、ダンススタジオを建物の2階以上に作る場合には、固体伝搬音に、特に注意を払わなければなりません。
固体伝搬音とは、建物の床や壁に振動や衝撃が伝わり、それが音になって聞こえるものです。
ダンススタジオの場合、ステップやジャンプによって床への振動が多くなります。
とくにアパートやマンション、テナントなどを利用してダンスレッスンをしているようなケースでは、しっかりした防音対策をとっていても階下の住民から固体伝搬音への苦情が出てくることがあります。
そのため、固体伝搬音対策は防振構造を熟知した専門性の高い工事業者へご相談される事をお勧めします。
固体伝搬音への対策としては、建物の状況を把握した上で、レベルの高い防振床を計画する事になります。
その結果、防振床の工事費用が大きくなりすぎる事も多々ありますので、事前に専門業者と相談し費用を把握した上で、場合によっては、防音防振上、ダンススタジオを計画する為の効率の良い物件への計画変更も必要かもしれません。
床への対策
ダンススタジオを利用する側の考え方としては、防音対策も重要なポイントではありますが、床材料の検討が必要です。
ダンスはステップを踏んだりジャンプをしたりするため、足腰への衝撃が大きく、長時間練習した場合には関節が痛くなるようでは、お客様フレンドリーなスタジオとはいえません。
ダンスのジャンルにあわせながら、適切な弾力のあるスタジオ床の計画が重要です
ダンススタジオの床の例について見ていきましょう。
建材について
長尺シート リノリューム
・一番多くご希望を頂く素材です。クラシックバレエ用に特化して開発されたTMフロアや、その他のダンス用とされるフロアリュームなどもこの部類になります。メリットは、滑る床にも滑りにくい床にも対応できる素材なのでダンスのジャンルを問わない汎用性の高さです。また、施工費用もわりと予算は安くすむ材料です。下地にアンダーレイシートなど緩衝材を挟む事で、表層の弾力性も向上し、ヨガやフィットネスなど床に寝転がる事が多いスタジオにもてきしています。撥水性も高いので、お掃除もしやすいです。デメリットは、擦傷などが目立ちやすい事でしょうか。定期的なワックスがけなどのメンテナンスが必要です。
塩ビタイル
・ウッドタイルや石目調タイルなど素材は塩ビですがデザイン性が高いところが魅力の素材です。先の長尺シートと同様に撥水性が高いのが魅力ですが、目地があるぶん長尺シートほどの防水性は確保できません。また、デザイン性が高いのですが、表面のプリントは薄いのでヒールのかかとで抉られたりすると、表面強度は弱い素材です。裸足で利用するスタジオや、映え空間を演出する一部の床などには良い素材だと思います。
フローリング
・フローリングは合板フローリングなどの表層シート貼りや、薄い挽板のフローリング材では、ダンススタジオの床材としては一番不向きでしょう。フローリングでダンススタジオの床を作る場合は、無垢フローリングをお勧めします。無垢なので経年の使用感がスタジオの歴史を演出するようなカッコよさがあります。しかしながら建材として一番高額になりますし、施工費用も高くなります。カッコよさと予算が比例していく素材です。
他にも石タイルやポリカなどたくさんの床建材はありますが、上の3種類が代表的な床材かと思います。
固体伝搬音対策としての浮床構造
床の防音防振対策として挙げられる方法が浮床構造というものです。
浮遮音構造は、その名の通り床や天井、壁から一定の距離を置き空気層を挟んだ別の床や天井、壁を設置し、一回り小さな部屋を作ることで、遮音するものです。
ダンススタジオでは、この浮遮音構造で採用する浮床構造をお勧めします。浮床の作り方にはダンスのジャンルや建物ん構造、利用想定の人数などで、同のレベルの浮き床が必要になるか検討します。適切な浮床構造を選択し正確な工事を実現できなかった場合、音や衝撃が直接床や天井、壁に伝わり、それが音となって隣や階下の部屋に聞こえます。
浮床構造は、とても効果の高い方法ですが、経験と知識がある専門業者でなければ実現不可能な工事です。適当な工事ではコストばかり大きくなり、効果が得られなかった事例をよく聞きます。後からの工事では修正が効かない工事ですので、計画段階から専門業者をしっかりと見極めてご相談される事をお勧めします。
昭和音響のダンススタジオ施工事例はコチラからhttps://www.showaonkyo.com/category/dancestudio/
昭和音響への無料相談はコチラからhttps://www.showaonkyo.com/contact/
室内音響 響きの対策
ダンススタジオの防音対策は、振動だけではありません。
ダンススタジオでは、大勢の生徒さんに音楽がしっかり聞こえるようにするため、大音量で音楽を流すことがあるため、室内音響への対策も必要です。
では、室内音響への対策について見ていきましょう。
部屋の形状を変化させる
ダンススタジオで反響の対策となる一つの方法は、部屋の形状を変化させることです。
真四角の部屋の場合、大きな反射面が平行して存在するため、反響が大きくなる傾向があります。
結果として、音楽を流すと不快な反響が生じたり、音質が悪くなったりします。
とくにダンススタジオは、鏡が壁一面に設置されていることが多いので、より反響しやすい環境といえます。
そこで、平行する壁の形状を屏風折にするなどして部屋の形状を変化させることで音を拡散させることができます。
部屋の形状を変化させるためには大掛かりな工事が必要ですが、拡散体を使えばそれほど大変ではありません。
拡散体を壁に取り付けるだけで、平行面反射を軽減する事ができます。
多少費用がかかりますが、拡散体を兼ねた看板照明やスマホの撮影ラックなどを計画すればお客様フレンドリーなスタジオが計画できると思います。
吸音パネルを取り付ける
残響音が長すぎる場合に取り入れられる別の方法は、吸音パネルの設置です。
天井や壁に貼り付けるだけで残響時間を抑えられるので、レッスン中の掛け声も聞き取りやすくなります。吸音パネルにも種類がいくつかありますので、材料の特性を理解した上で、適材適所の選択ができれば良いと思います。
施工工事の流れと手順
ダンススタジオの防音対策では、多くの場合工事が必要となります。
では施工工事の流れや手順について見ていきましょう。
1. お問い合わせ・相談
まずは、ダンススタジオの防音工事を専門としている業者に問い合わせ、相談することから始めましょう。
目的をしっかりと伝え、どのような防音対策を希望しているのか伝えることが重要です。
2. 現地訪問・打ち合わせ
次は、実際に業者に現場まで来てもらい、打ち合わせを行います。
業者としても、実際に現場の状況を見てみないとわからないことが多いので、ここでおおよそのプランが立てられると考えておきましょう。
現地を見た結果、いくつかのプランが出てくるかもしれませんし、施工できないという結論になるかもしれません。
自分が思いもしなかった方法を業者が提案してくれることもあるので、不安に思っていることや希望などをまとめておくとよいでしょう。
3. 見積もり
現地調査と打ち合わせ後、業者はプランを立てて見積もりを出します。
プランの内容はもちろんのこと、費用や施工期間などもしっかりチェックしましょう。
4. 契約・施工
見積もりの内容に問題がなければ、契約となります。
契約後は、施工が行われ、引き渡しへと進みます。
引き渡しの前には、業者と約束した遮音性能が実現できているか測定して検証する事が大事です。
引き渡しの際に、しっかりと性能測定をしてくれる業者に工事の依頼をしましょう。
防音対策の事例紹介
ダンススタジオの防音対策は、立地や階にもよるため、さまざまなパターンがあります。
ここで、ダンススタジオの防音対策の事例をいくつかご紹介します。
1. 既存のダンススタジオのリフォーム
福島県にあるダンススタジオは、既存の建物を外装なども含めトータルリフォームしました。
トータルリフォームで防音対策を講じれば、一気に工事を行うことが可能です。
建築音響を専門に行う昭和音響では、天井を高く取りたいというオーナーさんの希望を叶えるため、埋め込み式で防音仕様のダウンライトを設置しました。
防音仕様のダウンライトを使うことにより、遮音性能が高まり有効な防音対策となります。
実際の施工例はコチラ⇒ https://www.showaonkyo.com/2022/12/04/dance-studio-201901-fukushima/
2. ビル地下の貸しダンススタジオの施工
高田馬場にあるビルの地下一階のダンススタジオの施工と防音対策の例です。
現地調査を行い、想定される音圧を計算すると、地下一階でも十分遮音性が確保されるということが分かりました。
結果として大規模な防音対策を行わなくてもよいという判断となり、施工費用を大幅にカットすることができました。
どんな防音対策を講じるかを調査に基づいて決定することも、業者の重要な仕事となります。
ビルの地下にダンススタジオを設置したい場合、費用が気になる方も多いことでしょう。地下で施工したり、防音対策を施したりする場合には、多額の費用がかかるケースもよくあります。
昭和音響では、しっかりとした現地調査をいたしますので、費用を抑えることが可能になる場合があります。
昭和音響が行ったダンススタジオの施工例は、ダンススタジオの施工例ページをご覧ください。
ダンススタジオの防音対策は費用対効果を考えて決めよう
ダンススタジオでは多くの場合、防音対策が必要となります。
しかし、どの程度の防音を希望するのか、費用はどのくらいかかるのかといった要素を考慮して、施工内容を決めるべきです。
業者に適宜相談しながら、できるだけ低予算でよい効果が得られる防音対策を探すようにしましょう。
昭和音響ではダンススタジオの防音施工を行っております。
設計から施工までワンストップのため、リーズナブルな費用でのサービス提供が可能です。
引き渡しの際には必ずJIS規格の音圧測定を行い、遮音性の確認をしていただいております。
ダンススタジオの防音対策をお考えの方は昭和音響までご相談ください。
お問合せはこちらから https://www.showaonkyo.com/contact/
また以下ページにて施工例も掲載しております。
https://www.showaonkyo.com/sekozirei.html