一戸建てに比べ、マンションは騒音を気にしなければならない場面が多く、防音対策をしていないと隣や下の階の住人とトラブルになってしまう可能性もあります。
出来るだけトラブルを避け、我慢せずに快適に暮らすために防音工事を検討される方も多いのではないでしょうか。
この記事ではマンションの防音性能について、さらに防音工事が必要やケースや、防音工事のメリット、デメリットについて解説します。
マンションの防音性の特徴
マンションの防音性の特徴として木造よりは鉄筋コンクリート造の方が壁が厚くやや遮音性が高いです。
ただグレードの低いマンションの場合には、壁がコンクリートでできていない場合もありますので、一概に「鉄筋コンクリート造だから防音性が高い」というわけではありません。
遮音等級を示す値に「D値」がありますが、防音を何もしていない場合一般的なマンションのD値は10から20程度です。このD値は高ければ高いほど遮音性が高く、例えば洗濯機を回す音が20をやや越え、ピアノや楽器の音となるとD値は60以上になります。[注1]
そのため、一般的なマンションでは防音対策をしない限りさまざまな騒音が近隣に伝わってしまいます。
[注1]日本建築学会建築物の遮音性能基準と設計指針
http://news-sv.aij.or.jp/shien/s2/mansion/sec2-7.html
マンションでの防音の必要性
マンションの防音性能はそれほど高くありません。ごく普通の話し声やテレビの音くらいなら気にならないようにはなっていますが、それ以外の騒音の原因となるものがあるのなら防音対策の重要性は高まっていくでしょう。
例えば楽器の演奏、映画鑑賞や音楽鑑賞をしているとつい音が大きくなり、知らず知らずのうちに近隣に迷惑をかけている可能性があります。
また、ペットの鳴き声や子どもの騒ぐ声、走り回る音が伝わって騒音になってしまうかもしれません。
近隣トラブルを防ぎ、自分自身も快適に過ごし、さらに騒音に気を付けるストレスを感じずに生活するには防音工事が大切です。
防音工事をすれば生活の中で気になる騒音が伝わるのをある程度防げます。
本格的な防音室を作れば楽器の演奏、映画鑑賞や音楽鑑賞も楽しめるようになるでしょう。
空気伝搬音と固体伝搬音
音の伝わり方には空気伝搬音と固体伝搬音という種類があります。
空気伝搬音は空気を通して伝わる音のことです。
壁や床など、障害物にぶつかるとこの空気伝搬音は聞こえづらくなります。
テレビの音、スピーカーの音、ペットの鳴き声、子どもの泣き声、さらに人の話す声などはこの空気伝搬音にあたります。
マンションでは空気伝搬音は近隣に伝わりづらいですが、想定外の大きな音を出したり、隣の部屋と近い距離で大きな音を出すことで騒音になってしまいます。
一方の固体伝搬音は壁や床などと伝って届く音のことです。
壁や床を伝うため空気伝搬音のように聞こえにくくなったり遮断されたりしにくく、ダイレクトに近隣にまで届いてしまいます。
重低音の楽器はスピーカーの音、子どもの走り回る音などはこの固体伝搬音に該当します。固体伝搬音は防ぎにくいため、専用の防音工事をしなければなりません。
防音工事をしたほうが良い人の特徴
防音の必要性や音の伝わり方を理解した上で、防音工事をしたほうが良い人の特徴を3つ紹介します。
自分には防音工事は必要なのか迷っているという人は下記の特徴に当てはまるか考えてみてください。
楽器を演奏したい
楽器を演奏したい人は防音工事の必要性が高いです。
なぜならピアノ、ギター、ドラム、管楽器など、楽器にはさまざまな種類がありますが、いずれも騒音が気になってマンションでは練習できないケースが多いです。
楽器の演奏を許可しているマンションであっても、通常よりやや防音効果が高いだけだったり家主の厚意によって許可されていたりする物件の場合もあります。
また演奏できる時間が限られている、演奏できる楽器が限られていることもあります。
電子ピアノなどならヘッドホンを装着して演奏することで騒音を防げますが、やはり思うように音を出して楽しみたい人も多いのではないでしょうか。
そんなときに防音工事をしっかり済ませておけば、心行くまで演奏ができる、仲間と一緒に演奏を楽しめるでしょう。
ペットを飼っている・小さい子どもがいる
ペットを飼っている、小さい子どもがいる人も防音工事がおすすめです。
ペットの鳴き声は近隣トラブルになりやすく、ペット可のマンションであっても苦情が入る可能性があります。
また小さい子どもが騒ぐ声は、仕方ないと思う方もいる一方で、我慢できないという方がいないわけではありません。
近隣への迷惑を考えてストレスを抱え込んでしまい、育児に疲れてしまう可能性もあります。
安心してペットや子どもと暮らすためにも防音工事を検討しましょう。
大音量で映画や音楽を楽しむ人
大音量で映画や音楽を楽しみたい人にも防音工事は必須です。
近年は家庭用の良質なスピーカーも増え、また自宅で映画鑑賞や音楽鑑賞、ライブ配信などを楽しむ機会も増えました。
ただ近隣への騒音を気にして音量を下げてしまうと、臨場感を楽しめなくなってしまいます。
防音工事をしておけば作品の世界観に没入でき、より楽しめるようになります。
ホームシアターを作りたいという方も、防音工事を検討しましょう。
マンションでの防音工事のメリット
合わせて、ここではマンションの防音工事をおこなうメリットを3つ紹介していきます。
防音工事をすると近隣に迷惑をかけないだけでなく、自分自身も快適に暮らせるようになります。
防音工事をおこなうかお悩みの方は、メリットを確認してみましょう。
近隣とのトラブルを避けられる
防音工事をおこなうと近隣への騒音を防げるようになり、トラブルを避けられます。
とくにマンションは隣の部屋との距離が近く、隣だけでなく上下の部屋へも配慮しなければなりません。
一度近隣トラブルを起こしてしまうとそのマンションに住みづらくなり、最悪の場合裁判になったりマンションを手放さなければならなくなったりしてしまいます。
騒音が気になるのであればトラブルになる前に防音工事をすることをおすすめします。
趣味を満喫できる
防音工事をおこなうことで近隣への騒音を気にせずに趣味を満喫できます。
防音効果の高い防音室を作れば、楽器を演奏したり大きな音で映画鑑賞や音楽鑑賞ができたりします。
時間を気にせず趣味を満喫できるので、さまざまな生活スタイルの方が暮らすマンションでは非常に大きなメリットです。
ストレスなく生活できる
楽器や音楽などの騒音となる趣味がなくても、ペットを飼っている、小さい子どもがいる場合は騒音が気になってしまうことがあります。
ペットの鳴き声や子どもが騒ぐ声、音は自分自身でコントロールできるものではないため、近隣への配慮とペットや子どもへの注意などでストレスを抱えることになってしまいます。
ですがある程度きちんとした防音工事をしておけば、騒音への心配によるストレスを感じずに済みます。
何かとストレスの多い育児を続ける上で、不安要素を少なくしておくことは大切です。
マンションでの防音工事のデメリット
反対に、マンションの防音工事をするデメリットについて紹介します。
メリットだけでなくデメリットも確認し、事前に対策を取れるようにしておきましょう。
工事費用が高い
防音工事のデメリットの一つとして、まず工事費用が高いという点があります。
どのレベルの防音工事をするかにもよりますが、簡単な防音工事でも数十万円はかかります。
さらに専用の防音室を作る、よりレベルの高い防音工事をするとなると数百万円がかかることも珍しくありません。
防音工事を業者に依頼する際は、事前にどのレベルの防音工事が必要なのか、予算はどれくらい用意できるのかをきちんと考えておきましょう。
業者によっても防音工事にかかる費用は違いますので、数社に見積もりを依頼して比較してみるのもおすすめです。
部屋が狭くなる
しっかりとした防音室を作るとなると、防音性の高い厚い壁を設置しなければなりません。
部屋の中に厚い壁を設置する防音工事をおこなうと、部屋が狭くなってしまうというデメリットがあります。
とくにピアノやドラムなどの大きな楽器やアンプなどの大きな設備、プロジェクターなどを設置したい場合は、防音工事後に入りきらなくなってしまう可能性があるので注意しましょう。
防音工事をしている業者が少ない
リフォームにはさまざまな種類がありますが、防音工事は特殊な工事をしなければなりません。
マンションのリフォームの中でも需要が低く、防音工事には対応していない、または防音工事の実績が少ない業者もあります。
そのような業者に依頼してしまうと間違った工事をされたり、防音効果の弱い工事をされたりする可能性があります。
より適切な防音工事をしてもらうには業者の見極めも重要ですが、防音工事に対応している業者が少ないため選ぶのにも苦労してしまいます。
知名度やネットの検索結果などだけで満足せずに、事前に防音工事をした顧客の口コミや防音工事の実績なども確認しましょう。
マンションの防音対策をしよう
一般的なマンションはあらかじめ防音対策がされているわけではなく、生活音が近隣に聞こえてしまう可能性が高いです。
とくに楽器を演奏する方、ペットや小さい子どもがいる家庭、映画や音楽をじっくり楽しみたい方などは自宅マンションの防音対策を考える必要があります。
他にも、防音工事をおこなうと近隣に迷惑をかけず趣味を満喫できたり、ストレスなく生活できたりするなどのメリットがあります。ただ、一方で費用がかかる、部屋が狭くなるなどのデメリットもありますので、防音工事については慎重に検討してみましょう。