今回の工事は、防音対策として内窓の取付だけを行ってマンションでピアノの演奏をされて
いらっしゃったお客様が、近隣のクレームにより本格的な防音工事を実施するに至った、そのような
背景を持つ施工事例です。
お客様は、ピアノ演奏を仕事とされているプロのピアニストのお客様でした。
多彩な響きが特徴のベーゼンのグランドピアノを愛用のお客様。ウィーンナートーンのピアノの響きを
楽しむ為の空間を必要とされていました。
その為、交通量の多い道路の傍らに立地し、自室の専有部分は
マンション1階部分でエレベーターの隣、つまり隣接するお隣さんがなく
道路騒音がうるさいマンションを
あえて選んでご購入されていらっしゃいました。
さらに入居後には、お部屋の窓に内窓を取付け、ご自身のピアノ演奏の音が
ご近所様にご迷惑をかけないように、いろいろと配慮されてピアノの演奏を
なさっていたとの事
でした。
とくにトラブルもなく、ピアノの演奏生活を続けていらっしゃったお客様
でしたが、ある日突然に上の住まいの方から音に関するクレームの連絡があり
内容は、ピアノの音が聞こえて来ていたが、じつは長い間、我慢していたとビックリする内容のクレームでした。
聞こえていないと思っていたピアノの演奏音が、ご近所様にご迷惑をかけていた事を始めて知らされ自戒の念にさいなまれ、とてもツライお気持ちに
なられたとの事でした。
このような出来事があり、防音室を専門に工事をする業者を探し、電話で
話を聞いてみた、そんな業者の一つが昭和音響でした。
最初はできるだけ簡単な施工方法で防音対策ができないか?
方法を模索されたお客様でしたが、振動の伝播(固体振動音)が音漏れの原因の大きな理由であるとの
弊社からの説明にご納得を頂き、防振2重構造(浮き構造)で作る防音室のご提案にご理解を頂いた
流れでした。
音のトラブルになっている状況では、お客様が達成したい解決方法はただ一つ
音漏れの無い防音室が欲しいとの事でした。
浮き構造の防音室工事を前提に、音漏れが無いのが当然ながら第一希望であるものの
せっかく防音室工事を進める検討過程の中では、他の要望もいろいろと溢れ出てくるものです。
★時間を気にせずに演奏ができる防音室
★時には友人の音楽家と合わせ練習やセッションができる防音室
★本番の衣装を収納する為の収納スペース
★グランドピアノの搬出入に問題がないお部屋の入口の作り方...などなど
しっかりとご意見の交換をしながら、お打合せと、プランの修正を重ね、すべてのご要望を満たす
お客様の為の特別な防音室のプランが完成しました。
プランが完成してからは、実際の工事となりますが、プラン通りの防音室ができるかどうか
ここからは、現場監督の力量や、工事に関わる職人を含めたチームの真価を問われる部分となります。
元々のお部屋を解体し、設計通りの防音室を作る事ができるか、現場と図面をすり合わせます。細かい部分の微調整も必要ですし、内装造作を解体して初めて露見する予想外の配管なども出てきたりします。
マンションでは、工事業者が手を加えても問題ない工事範囲とそうではない部分があります。
建物の条件(躯体に加工しない事)を守りながらプラン通りの防音室を作るのは、知識と経験のある技術者が職人さんと一緒に工事を進める事で、はじめて成り立ちます。
現場監督、現場管理は、防音室を設計通りに作り込む為に、本当に大事な仕事なんです。
晴れて!!
防音室が完成しました!!!
素敵なグランドピアノも入り、限られたスペースを最大に活用した収納には、衣装も予定通りに納まり
ました。
お客様にご納得頂き、防音室のお引渡しが完了。
工事後には、音のトラブルも解決し、時間を気にせずに思いっきりピアノの演奏をしたり
ご友人の声楽家の方や、バイオリン奏者の方などとセッションしたり、と欲しかった機能が
全部満たされた世界に一つの防音室が完成しました。
この度は、工事のご用命、ありがとうございました!
今後も、弊社との末永いお付き合いを、何卒よろしくお願い申し上げます。
施工時期 | 2023年4月上旬~2023年4月下旬(15日間) | |
用途 | ベーゼンドルファー グランドピアノの防音室 | |
予算 | 320万円程度 | |
建物 | マンション リフォーム | |
室の広さ | 施工後 |
【防音室】6.8㎡(4.2帖) |
防音性能 | 建物外へ | D-70 |
隣接室へ | D-50(開口部を除く) | |
上室へ | D-65 | |
サッシ入口部分 | D-45 | |
壁 | クロス クローゼット収納 自由設計 | |
床 | タイルカーペット | |
天井 | 吸音パネル | |
開口部 | 防音ガラス入りサッシ 大信工業プラスト |