音楽活動を行うためのスタジオですが、騒音問題にならないためにも防音対策が必須です。防音対策は自作で行うことも可能ですが、より音楽活動に集中したい方は防音工事をおすすめします。この記事では、防音工事のことや防振対策、防音工事の流れや押さえておきたいポイントまで解説します。

スタジオの防音対策は防音工事がおすすめです。
専門業者に防音工事をお願いすることで、高い防音効果を得られることが期待できます。

この記事では、防音工事のことや防振対策、防音工事の流れや押さえておきたいポイントまで解説します。

スタジオの防音対策は防音工事がおすすめ

スタジオの防音対策を行う場合は防音工事がおすすめです。
スタジオは音楽専用の録音スタジオや練習スタジオなど大きな音を出すことになります。

そのため、防音工事を行って、音漏れを防ぐことや外部から音が侵入させないようにする必要があるのです。
また、楽器を演奏するための練習スタジオでは、たとえ音が小さくても騒音が伝わりやすい場合があります。

楽器の音域によっても防音対策は変わってくるので、専門家に相談して防音工事をする必要があります。

楽器の種類に合わせて防音対策を行う

防音対策は楽器の種類によって異なります。
なぜなら音の性質上、低音になるほど遮音が難しくなるため、楽器の音域が広いほど遮音性能に優れた防音対策が必要となるからです。

特に、一般的な住宅の防音工事で多いピアノ、ボーカル、ギター、ドラムなどの楽器は音域が広いので低音に対する防音対策が必要となります。
このように楽器の種類に合わせて防音対策を行うことで効果的に遮音することができます。

スタジオの防音工事は主に2種類

スタジオの防音工事は主に「固定遮音構造」と「浮遮音構造」の2種類です。

まず固定遮音構造とは、天井から床までの間仕切り壁を厚くして遮音効果を得る構造です。
壁を厚くする際に防音性に優れているボードを何枚も貼ることで遮音性を向上させています。

ただし、壁をどこまで厚くしても一定上の遮音性しか得られません。
そのため、次に紹介する浮遮音構造に比べると遮音性が劣ります。
ただ、工事が簡易的で施工がしやすく、比較的コストを安く押さえることが可能です。

一方の浮遮音構造とは、もともとの部屋の天井、壁、床から離れた空間を作ることで遮音効果を得る構造です。
もともとの部屋から防振天井、浮き壁、浮き床を用いて浮いたような状態を作るため浮遮音構造と呼ばれています。

もともとの部屋から二重の壁となって防音するので高い遮音性を得ることが可能です。
音楽ホールや音楽練習室などの大音量が伴う場合によく採用されています。

ただし、固定遮音構造に比べると工事が複雑で施工に時間がかかるため、施工コストが高くなってしまいます。

防音工事は建物の構造によっても変わる

防音工事は建物の構造によっても変わります。
防音工事は室内の壁を厚くすることや、新たな空間を作るために多くの資材を使います。

すると室内に多くの重さがかかってしまうので建物の構造によっては施工が厳しいケースもあるのです。

たとえば、木造2階建ての住宅の2階部分に防音室を作ろうとしても、木造住宅は耐荷重に限界があるので施工できないケースがあります。
そのため、壁を厚くできないので簡易的な防音工事になってしまうのです。

一方で、鉄筋コンクリート造の建物は木造住宅に比べて耐荷重が大きいので、木造でできない防音工事も問題なく行えます。

このようにスタジオを作りたい建物の構造によっても防音対策は変わってきます。

ダンススタジオの場合は防振対策も必要

スタジオの用途がダンススタジオの場合は防振対策も必要です。
理由として、ダンススタジオの場合は床を跳ねたりステップを踏むことになるので、音だけでなく振動も発生してしまうためです。

たとえば、防振対策が行われていないスタジオの場合、防音対策として硬い素材を使用しているので振動を下の階に伝えてしまいます。
防振対策は振動を吸収する素材を使用するので、振動が下の階にまで伝わりづらいです。

このように振動を防ぐことも防音対策となるので、ダンススタジアムは防振対策も行う必要があります。

スタジオに必要な3つの条件

スタジオには一定の遮音性や室内音響についての設計が必要です。
以下にスタジオとして必要な条件について解説します。

1. 遮音性能

遮音性能とは、部屋の外から部屋の中に入ってくる音と、部屋の音が部屋の外に出ていく音をどれだけ遮音できるかを評価したものです。
遮音性能はD値で表されており、D値の数字が大きくなるごとに遮音性能が優れています。

日本建築学会によると、ピアノやステレオ等の大きな音については遮音等級D-60からほとんど音は聞こえず、D-65になると通常では聞こえないことがわかっています。
また、リハーサルスタジオの場合では、D-60では小さく聞こえてしまい、D-70からほとんど聞こえず、D-75でようやく通常では聞こえない遮音性能になります。

他にもダンススタジオの場合はD-65で通常では聞こえないほどで、D-60でもほとんど聞こえない程度でした。

このようにスタジオの用途によって遮音性能が違うので、用途ごとに遮音性能を満たす必要があります。

2. 室内騒音許容値

室内騒音許容値も意識する必要があります。

スタジオの用途によっては、外からの音を入れたくない場合があります。
そうした場合については室内騒音許容値を参考にすることで、許される騒音レベルを把握することが可能です。

日本建築学会によるとスタジオの用途別許容値は以下の通りです。
● 無響室…5-10dB
● アナウンススタジオ…10-15 dB
● ラジオスタジオ…20-25 dB
● テレビスタジオ…25-30 dB
● 主調整室…30-35 dB
● 一般事務室…35-40 dB
dBとは音の大きさのことで、数字が小さくなるほど許容できる音の大きさが小さくなります。
スタジオの用途別に許容値が異なるので、用途に合わせて許容値を設けることで必要な静けさを確保することが可能です。

3. 残響時間

スタジオは防音だけでなく残響時間を確保する必要もあります。
残響時間とは、楽器の音が止まってからも、反射音が続いて聴こえる現象のことです。

気持ちよく演奏することができるのでスタジオには残響時間を確保することが重要です。
ですが、残響時間は長ければよいわけではありません。

また、演奏する楽器やスタジオの広さによっても最適な残響時間が異なります。
スタジオで防音工事をする際は、最適な残響時間について確認しておく必要があります。

防音工事の流れ

防音工事の流れは以下の通りです。

1. 防音工事専門の会社に相談
2. 現地訪問・打ち合わせ
3. 見積もり・プラン提出
4. 防音工事の契約・施工開始
5. 防音工事完成・引き渡し

まずは防音工事専門の業者に相談します。
相談する際はスタジオの用途や使う楽器について話しておくとスムーズです。

相談後は業者が現地訪問を行い、現場周辺の騒音状況を確認しに来てくれます。

現地訪問後は業者との打ち合わせです。
このときに心配ごとや要望などを聞かれるので事前に準備しておく必要があります。

打ち合わせが終わると、業者は打ち合わせ内容を参考にプランや施工期間、見積もりの作成に入ります。
プランや施工期間、見積もり金額に問題がなければ防音工事の契約完了です。

契約後施工が開始されます。
無事に施工が完了されると遮音測定、残響時間測定を行い、適した音響調整まで行います。

最後の測定が終わると、測定したデータの報告書を確認し、引き渡しによって防音工事の完了です。
ここまでが一通りの流れになります。

防音工事で防音対策をする際に押さえておきたい3つのポイント

防音工事で防音対策をする際に押さえておきたいポイントは以下の通りです。

● 地域の環境基準
● 物件探しの段階から施工会社に相談する
● 音響障害が起きたらすぐに施工会社に連絡

以下にそれぞれ解説していきます。

1. 地域の環境基準

防音工事を行う前には、地域の環境基準を調べておく必要があります。
各都道府県によって環境基準が異なるので、許容されるdBの数値も異なります。

たとえば、東京都の第1種低層住居専用地域で2車線以上の車線を有する道路に面する地域では、昼間は(6時~22時)60 dB以下、夜間は(22時~6時)55 dB以下に規制されています。[注1]

一方で、埼玉の第1種低層住居専用地域では昼間は(6時~22時)55 dB以下、夜間は(22時~6時)45 dB以下と、東京に比べると許容されるdBが厳しく設定されています。[注2]

このように地域によって許容されるdBが異なるので地域の環境基準を調べておく必要があります。

[注1]騒音に係る環境基準|東京都環境局
[注2]騒音に係る環境基準|埼玉県

2. 物件探しの段階から施工会社に相談する

防音対策を行ううえで、もっとも効果的なことは物件探しの段階から施工会社に相談することです。
防音対策はお金をかけることで解決することができますが、コストが高くなるのでなかなか現実的に難しいです。

そのため、ある程度の騒音が出ても問題ないような物件に住む方が現実的です。
まだ物件が決めていない方は、新しく新築することをおすすめします。

3. 音響障害が起きたらすぐに施工会社に連絡

スタジオには音響障害の対策も必要です。
音響障害とは、音響設計が原因によって発生する現象のことを言います。

代表的な音響障害は定在波、ブーミング、フラッターエコーの3つです。
まず定在波とは、楽器から発する音と反射した音が重なってしまうことです。
特定の音が聞こえないことや、音が大きく聞こえてしまう現象を引き起こしてしまいます。

続いて、ブーミングですが、特定の周波数の音が響いてしまう現象のことです。
低音の音が本来に比べて膨張することで非常に聞き取りにくい音源になってしまいます。

最後のフラッターエコーは、楽器から発する音が天井や壁に反射し続けることで濁った音に聞こえてしまう現象です。

これら3つの音響障害が発生してしまった場合は、音響設計に問題があるのですぐに施工会社に連絡する必要があります。

スタジオの用途に合った防音対策を行おう

スタジオの防音対策には防音工事がおすすめです。
自作で作るよりも、専門業者に頼む方が高い防音性を期待できるので楽器の演奏に集中できます。

ただし、音の性質によっては防音対策が期待できないケースもあります。
そのため、仕様する楽器に合った防音対策が必要です。

また、防音工事の内容によっては耐荷重の問題が発生し、施工ができない場合もあります。
ですから、スタジオを予定している場所が適しているのかも確認しておく必要があるでしょう。

スタジオで音楽活動を集中して楽しむためにも、スタジオの用途に合った防音対策を行うことが重要です。