防音工事で満足度の高い防音室を作るには、業者選びで失敗しないことが大切です。
一般の家庭で防音工事業者を選ぶときに意識したい6つのポイントと、よくある失敗例をお話しします。
防音工事はニーズが高まっている
少し昔までは、防音室は楽器演奏をする場合や、シアタールームを作る場合など、限定した用途のために採用されることがほとんどでした。
しかし、近年は自宅で動画撮影をする人や、テレワークの人が増えたことで、書斎や自室に防音性能を求める人が増えつつあります。
防音工事のニーズが高まってくると、さまざまな業者が防音工事施工に算入してきます。その結果、防音に関するノウハウがないまま施工を行い、トラブルにつながるケースも少なくありません。
効果的な防音工事には、専門的な知識が必要不可欠です。目的に合った防音性能を手に入れるためにいくつかのポイントを押さえ、最適な業者を選んでください。
防音業者選びの前に知っておきたいこと
防音工事業者の選び方を知る前に、まずは防音に関する基礎的な部分を押さえておきましょう。
完全な防音はできない
最初に知っておきたいのは“完璧な防音はできない”ということです。建物や部屋には、必ず空気を循環させるための換気設備があります。こうした部分の防音は不可能です。したがって、どのような防音工事であっても、ある程度音は漏れてしまうでしょう。
テレビスタジオやコンサートホールのような高い防音性能を誇る施設の場合は、人間の耳では聞こえないくらいまで防音がされています。しかし、そのレベルの防音には壁の厚みや材質など、さまざまな専門の構造が必要です。一般家庭で同等の防音性能を得ることは難しいでしょう。
防音・遮音・吸音の違い
防音工事について調べてみると、遮音や吸音という言葉も出てきます。それぞれの違いは以下のとおりです。
防音 | 防音は「室内の音漏れや、外の音が入ってくることを防止する」という意味がある言葉です。便宜上防音工事と表現していますが、方法そのものではありません。防音するための方法が次の遮音と吸音です。 |
遮音 | 遮音は防音工事の中でも手軽に行える方法で、空気を振動させて伝わる音を跳ね返すことで防音します。音を跳ね返す特性上、遮音性を高めすぎると音が反響しやすくなる点に注意が必要です。 |
吸音 | 吸音は、音を吸収して室内からの音漏れを防ぐ方法です。音を取り込むため、吸音性を高めても反響の心配はありません。しかし、反響がなくなるまで吸音性を高めると、音の深みがなくなってしまうことがあります。 |
基本的に防音工事では、遮音を最初に行い、そこに吸音も組み合わせることで高い防音性能を発揮させます。遮音と吸音のどちらか一方だけでは、十分な効果は得られません。
より高い精度の防音室を作るには、目的や環境に合わせた工事が必要です。
防音工事でよくある、業者決定後の失敗例
工事費用の安さや、ハウスメーカーのおすすめのままに防音工事業者を決めてしまうと、以下のような失敗をしてしまう可能性があります。
相場よりも高い工事費用だった
飛び込みの営業やハウスメーカーからのおすすめ業者から安易に選んでしまうと、相場よりも工事費用が割高になることがあります。
そのため、業者選びの際は支払う費用が適切か、費用に見合った高い防音性能があるかなどをしっかり見極めることが大切です。
防音性能や工事規模に見合った適正な工事費用が提示されていて、その内容に納得できてから契約するようにしましょう。
防音効果が期待外れだった
防音工事で非常に多い失敗例が防音性能の物足りなさです。防音と聞くと、不要な音を大きく防いでくれるイメージを持つ人もいるでしょう。
しかし、単純に「防音がしたい」という希望だけを伝えて工事を実施すると、期待している防音性能は得られないかもしれません。
工事を依頼する際は、音の大きさを示すdB(デシベル)や音の高さを示すHZ(ヘルツ)などの単位を用いて、どれくらいの防音が必要なのか、業者へしっかりと伝えることが大切です。
部屋の見栄えが悪くなってしまう
既存の部屋を防音室にする場合、部屋の見栄えが大きく変わることがあります。
防音室用の2重ドアや吸音ボードの設置を行うと、かなり印象が変わってしまうため、好みに合わないデザインになることも多いです。
加えて、防音室にすると部屋が少し狭くなります。6畳程度のお部屋の場合だと、0.8畳分くらいは狭くなってしまうため、そうした変化を理解していないと失敗したと感じてしまうかもしれません。
音の聞こえ方が変化した
防音室を作るためには、必ず遮音・吸音を行います。これによって反響が変わり、今まで聞いていた音とは違った音に聞こえることが多いです。
配信や映画鑑賞用の防音室であれば、多くの場合はあまり大きな問題になりません。しかし、楽器演奏を行う場合は不快感につながることもあります。
防音工事業者の選び方では6つのポイントが大事
防音工事業者を探す際は、以下のポイントを意識するとより満足度の高い結果を得やすくなります。
1. 実績や施工例が豊富
防音工事の実績や施工例が多い業者は、さまざまな目的や環境に応じて、最適な工事方法を見つけることができます。柔軟な対応や、過去の実績からの提案などが期待できるでしょう。
設立から長く防音工事を続けている業者や、ホームページで多くの施工例を掲載している業者は、実績も施工例も豊富なことが多いです。
業者選びの第一歩として、実績と施工例、会社の歴史などを確認してみてください。
2. 防音の専門知識がある
防音工事を行うための特別な資格や許可は必要ありません。しかし、効果的な防音工事を行うには、防音に関する専門的な知識が必要です。
質問をした際にその場ですぐに明確な解答があることや、音に関連する専門的な説明がある業者は防音の知識が豊富だと考えられます。
問い合わせを行う際は、こうした部分も気にしてみるとよいでしょう。
3. 担当者や責任の所在が分かりやすい
防音工事では、工事内容や防音性能などにトラブルが発生する場合があります。その際に担当者や責任者が誰なのか、はっきりしないとなかなか解決できません。
設計や施工を一括管理している業者や、下請け業者の管理を徹底している業者を選べば、そうしたトラブルの際も対応が迅速です。
昭和音響では、設計から施工、アフターサービスまでをワンストップで管理しております。さまざまなニーズに柔軟かつ確実に対応をいたしますので、防音室をお考えの際はぜひご相談ください。
4. ヒアリングや確認が丁寧
防音室といっても、求める防音性能は人によってさまざまです。ライブハウスやダンススタジオと、個人の配信用の部屋用の防音では、求めるレベルは全く違います。
目的に合った満足度の高い防音室を作るためには、入念な打ち合わせで工事業者と顧客との間に共通の認識を作ることが大切です。顧客ごとに異なる要望のヒアリングや現地での細かな確認は、言った言わないのトラブルを回避するために欠かせません。
5. 提案やアドバイスを積極的にする
防音工事では、予算や建物の環境などのバランスから、どうしても顧客からのご要望をすべて叶えることができないことがあります。そのような場合は、専門家目線で工事方法の変更や代替案などを提案するような、顧客に寄り添った工事を重視している業者がおすすめです。
また、より防音性能を高めることや、コストをカットするための提案は知識と実績が豊富でなければできません。顧客の要望に応えるだけでなく、よりよい方法を提案する業者をぜひ選んでください。
6. アフターサービスの有無
防音工事は想定していなかった音響障害が発生することがあります。「想定したよりも防音性能が低い」「反響が強くて演奏に支障が出てしまう」などは、防音工事でとても多い問題です。
こうしたトラブルを予防するためには、工事完了後にお約束した防音性能が確保されていることを確認するサービスが欠かせません。
また、防音室を新設して不具合が発生した場合、アフターサービスで対処が可能かどうか確認することも重要です。
昭和音響では、防音工事完了後にお部屋のクリーニングを行い、内装の確認と遮音性能の確認を行っております。JIS規格の測定用音源を用いて確認しますので、間違いのない遮音性能を確かめていただくことが可能です。
このような業者には注意しよう
以下に、業者選びで注意すべきケースを紹介します。業者を比較・検討する際は参考にしてください。
極端な値引きをしてくる
契約を悩んでいるときに「今ならこの価格から100万円お値引きします」「他の業者よりも50万円安くします」のように、突然大幅な値引きをしてくる業者は要注意です。
工事費用を抑えるために、見えない部分で無理なコストカットを行い、それがトラブルにつながってしまうかもしれません。問題解決のために追加工事が必要になると、大きな出費が発生してしまう可能性があります。
完全防音を売りにしている
最初にお話ししたように、完全な防音は不可能です。特に戸建てやマンションの一室など、一般のご家庭での防音には限界があります。
もしも完全防音を売りにしている業者があったとしたら、その業者独自の完全防音とする基準があるはずです。
曖昧な表現の言葉ではなく、具体的な数値を用いて防音性能を説明する業者を選ぶようにしましょう。
契約を急がせる
「今契約すればお値引きします!」などと、契約を必要以上に急がせる業者はおすすめできません。契約のノルマを達成するために、説明が不十分なまま契約だけを取ろうとしている可能性があります。
こうした業者の場合、工事費用や防音性能、トラブル発生時の対応など、さまざまな部分で問題が発生する恐れもあるでしょう。
防音工事業者の選び方で大切なのは信頼と実績
防音工事は安くても数十万はかかるものです。コストをかけた分の満足度を得られるように、防音工事業者選びは慎重に行いましょう。
業者を探すときは、実績が豊富で信頼できることが何よりも大切です。ホームページや見積り依頼時の対応をしっかりと確認し、安心して任せられる業者をぜひ見つけてください。