ドラムセットはとても大きく、頻繁に持ち運ぶのは簡単なことではありません。身近でドラムの練習を気軽にできる環境があればとお考えの方は、少なくないでしょう。
ドラムの音は極めて大きいので、近隣への迷惑を考慮すると防音対策は必須です。自宅でドラムの練習をするのであれば、合わせて最適な防音対策についてよく検討してください。
今回は、自宅で気持ちよくドラムの練習をするために必要な防音対策について、自分または業者に依頼する方法を全部で4つご紹介します。ドラムの購入を検討している方は、合わせてぜひ参考にしてください。
ドラムの音は電車の通るガード下と同じくらいの大きさ
騒音の大きさは、デシベルという単位で表現されます。人が聞いて普通に感じる限度は60デシベルだとされており、デパートの店内や走っている車のなかとなどが挙げられます。
ドラムの音の大きさは、100デシベルです。普通に感じる音の大きさが60デシベル程度だとすると、数字だけでかなりな騒音であることがわかります。100デシベルは、電車の通るガード下や地下鉄の構内などと同じくらいの大きさです。
一般的な住宅であれば、100デシベルの音は確実に近隣の人へ迷惑をかけてしまうでしょう。周囲に迷惑をかけず、気持ちよくドラムの練習を自宅でするためには、適切な防音対策が必須なのです。
ドラムを自宅で叩くための3つの防音対策
ドラムを自宅で叩きたいのであれば、周囲への騒音による被害を最大限に配慮する必要があります。
今回は、以下のように自分または業者に依頼する防音対策の方法をそれぞれご紹介します。順番に見ていきましょう。
- 外に防音室を設置
- 室内に防音室を設置
- 防音対策が完備されている物件を探す
【業者編】1.防音室を外に設置してみる
住宅のスペースに設置できるタイプの防音室を購入するのが、こちらの方法です。
設置可能な防音室というと、歌唱用やギター用といったさまざまな規模のものが存在します。ドラム用となると相応の大きさとなりますので、その分のスペースが必要です。
目安としては、4.6帖ぐらいあるとよいでしょう。費用は、およそ350万円前後が相場です。既にある程度完成されているものを設置するだけですので、施工は1日程度で行えます。
ですが、どのような物件でも行えるとは限りません。自分の持ち家であれば、スペースさえあれば誰に迷惑をかけることもありませんが、分譲マンションや賃貸マンションだと話は変わってきます。
ドラム用の防音室となると、組み立て式とはいえかなりの大きさとなります。ここでネックとなるのが重さです。比較的コンパクトなドラム用の組み立て式防音室でも、およそ1,300kgの重さがあります。地震への影響や床が抜ける恐れとかを踏まえると、上階への設置は不可能です。1階にお住まいの方限定の方法です。
組み立て式の防音室は、かなりの大きさではありますが、分解することで持ち運びが可能です。そのため、引っ越しの際に持ち出せるのは嬉しいところでしょう。
いくら持ち運びが可能といっても、総重量が1,300kgを超えるほどの規模ですので、設置の際は設置場所の調査や十分な音響設計が欠かせません。個人で行うと大きな怪我に繋がる恐れがありますので、必ず専門の業者に依頼しましょう。
【業者編】2.室内に防音室を作ってみる
施工業者に依頼して、自宅に防音室を作る方法です。必要なスペースは、最低でも6帖だとされています。適切な防音設備を取り揃える都合上、この場合であれば実際のなかのスペースは4帖となります。
かかる費用は、およそ450万円前後が相場です。何といっても専門の業者に依頼して防音室を実際に作ってもらいますので、非常に高い防音設備が手に入ります。
パーツを持ち運んで組み立てるだけの組み立て式防音室とは異なり、1から防音室を作らなければなりません。そのため、実際に完成するのは施工を始めてから1ヵ月半くらいはかかるとされています。
また、どのような住宅環境でも可能とは限りません。組み立て式防音室と同様で、持ち家であれば誰に迷惑をかけるわけでもありませんので可能です。ただし、1階である必要があります。
分譲マンションの場合は、交渉次第です。工事の内容の都合上、こちらも1階以外は不可能と考えておいたほうがよいでしょう。賃貸マンションには現状復帰しなければなりませんので、この方法は選べません。
インターネットで調べてみると、ブログや動画サイトなどでDIYによって防音室を作ってみた例がいくつか見つかります。ですが、ドラム用の防音室を作るのであれば、DIYではなく専門としている業者に依頼するべきです。
ドラムの音の大きさはかなり大きく、しっかりとした防音効果を獲得するためには相応の技術が必要となります。防音室を作るためには、部屋そのものを造り替えなければいけません。
確実な防音には、質量の大きな部材を多く使用します。そのままでは一般的な住宅では重さに耐えられないので、床を剥がして基礎工事を行う必要があります。1平米に対して500〜600kgあたりはかかるとされています。このことから、持ち家でも1階以外で防音室を作るのは基本的に不可能です。
防音室を作るのであれば、費用を節約するようなことはあまり考えないほうがよいでしょう。安い施工業者に依頼してしまうと、十分な防音効果が得られず、クレームの原因になってしまう恐れがあるためです。
大切なのは、信頼できる施工業者に依頼することです。昭和音響は、昭和の時代から実績を積み重ねてきた防音工事を専門とした施工業者です。自宅に防音室を作りたい方は、ぜひお気軽にご相談ください。
【自分編】3.防音対策が完備されている物件に引っ越しする
防音室を設置または作る場合にしても、一般的には300万円以上のかなりの費用がかかるでしょう。費用をある程度抑えながら高い防音設備が欲しいのであれば、防音対策が完備されている物件への引っ越しを検討してみるとよいでしょう。
ただし、契約時にかかる費用や引っ越しなどに関する初期費用、家賃の支払いなどのコストが発生します。
防音室の設置や作る場合と比べると、防音対策の賃貸物件の方が初期費用は安いですが、防音設備が万全となっている物件自体が、そもそも多くないというのが現状です。物件によっては、演奏してもよい時間帯や使用する楽器の種類が制限されているケースがありますので、合わせて確認しましょう。
物件数は非常に限られますが、昨今では好条件な防音マンションが多数登場しています。24時間楽器の演奏が可能な物件や、ドラムだけでなくバンド演奏が可能な物件もあります。
加えて、オートロックや宅配ボックスなど、賃貸住宅としても非常に優秀で嬉しい設備が揃っているケースも存在します。費用や自分の音楽活動に合わせて、最適な方法を選ぶことが大切です。
合わせて防音グッズの使用もおすすめ
たとえば防音室を設置したとしても、完璧な防音対策を実現には少し及びません。僅かな音漏れや振動はどうしても響いてしまいます。そこで、合わせて防音グッズを使用して、防音効果の向上を図りましょう。
あくまでも、ほかの防音対策の効果をさらに高めるためであることを覚えておいてください。防音グッズのみでは、ドラムの生の音を抑えることは不可能です。
床への振動を防ぐマットで音量を抑える
ドラムの演奏には、下に対する振動の発生が伴います。音量を少しでも抑えるために、床にドラム用のマットを敷き詰めてみましょう。
防音効果の高いドラム用マットの場合、相応の重さがあります。その分防音効果は高いですが、設置の際は十分に気をつけてください。
特に防音対策が大切になる窓は複数重ねることで効果的
部屋を見渡したとき、もっとも防音性能が低いのは窓です。床や天井、壁と比較してかなり薄く、外に直接面しているので、なかで演奏している音は漏れますし、外からの音も入ってきます。
防音対策には、3重窓のように窓を複数枚重ねることが効果的です。
内窓を取り付けて少しでも防音効果を高める際は、窓同士の間にグラスウールを敷き詰めるとよいでしょう。当然、日差しは入りませんし窓としての機能はなくなりますが、ドラムの練習のためにと割り切る必要があります。
【注意】天井にできる防音対策は数少ない
ドラムを演奏する際は、上階への迷惑も考えなければいけません。しかし、個人の範囲できる天井の防音対策となると、かなり数は限られます。
壁に貼り付けるのと同じようにグラスウールや遮音シートなどを貼り付ければよいと思われるかもしれませんが、ドラムの音を遮るには相応の質量のある防音材が必要であり、そのようなものをDIYで天井に貼り付けると、剥がれて落ちてくる恐れがあります。
最悪の場合、せっかくの楽器がダメージを負ったり、自分が大怪我をしたりするかもしれません。個人で施せる防音対策には、かなりの工夫が必要となりますので、DIYではなく業者に依頼する方法を検討したほうがよいでしょう。
自宅でドラムの練習がしたいなら完全な防音対策が必須
ドラムの音の大きさは、電車の通るガード下の騒音と同じくらいだとされています。かなりの大きさですので、周辺への気遣いは欠かせません。現実的な方法としては、防音室の設置や施工、防音マンションへの引っ越しが考えられます。
いずれの場合でも相応の費用がかかりますので、予算や自分の音楽活動を踏まえたうえで検討してみてください。
自宅に防音室を作る際は、ぜひ昭和音響にご相談ください。昭和音響は、昭和の時代から防音工事の設計や施工を専門としてきた一級建築士事務所です。