新築や注文住宅の計画中に「防音室も作りたい」と考えたとき、最初に迷うのは誰に、いつ相談すればよいのかという点ではないでしょうか。
結論から申し上げます。
- 相談のタイミングは、間取りが固まる前。基本設計の段階が最も自由度が高くなります
- 依頼先は、建物はハウスメーカー・工務店、防音室は防音工事の専門業者に分けるのが確実です
- 費用の目安は、6畳でおよそ260万円から。用途と必要な遮音性能で大きく変わります
- 費用は住宅ローンに含められます。当社では最大90%を後払いとし、ローン実行後のお支払いとする取り扱いにも対応しています
昭和音響は防音工事の請負実績1,600件以上、これまでに納品した防音室は3,000室以上。本記事では、新築・注文住宅で防音室を計画する際に知っておきたいことを、実際の工事の進め方に沿って解説します。
新築・注文住宅の防音室は「間取りが決まる前」に相談する
防音室を作るタイミングは、お客様のご都合によりさまざまです。新築の設計段階から組み入れて計画する場合もあれば、お引渡し後のリフォームで工事をする場合もあります。すでに生活をしている住居のリフォームで工事をすることもありますし、敷地に余裕があれば、離れの建築で防音室を作ることもあります。
このなかで最も条件が良いのは、新築・注文住宅の設計段階から計画に組み入れる方法です。
設計段階から計画するとできること
部屋の広さを、防音層の厚みを見込んで確保できる
防音室は壁・床・天井を二重、三重に作ります。そのため、仕上がりの室内寸法はもとの部屋より一回り小さくなります。設計段階なら、必要な内寸から逆算して部屋を大きめに取っておけます。
床の補強を建物側の工事に含められる
防音室は重量があります。木造の場合、床の補強が必要になることがあり、これは梁や基礎の設計に関わります。着工前に分かっていれば、建物側の工事として無理なく織り込めます。
換気・電気・空調を先行配管・先行配線できる
防音室では、遮音性能を保ちながら換気を確保するために専用のダクト経路が必要です。設計段階なら、この経路や電気配線、エアコンの配管を壁の中に納められます。後から作ると、露出配管になることがあります。
窓の位置と数を防音前提で決められる
窓は防音のうえで最も弱い部分です。設計段階なら、防音室にする部屋の窓を最小限にする、あるいは設けない選択ができます。
引き渡し後に作る場合との違い
| 設計段階から計画 | 引き渡し後にリフォーム | |
|---|---|---|
| 部屋の広さ | 防音層の厚みを見込んで確保できる | 既存の部屋から一回り小さくなる |
| 天井の高さ | 躯体条件にあわせて最大高を取れる | 既存天井から下がる |
| 床の補強 | 建物側の工事に含められる | 追加工事になる |
| 換気・電気 | 先行配管・先行配線ができる | 露出配管になることがある |
| 生活への影響 | なし(入居前に完了) | 工事期間中は不自由な生活になる |
| 費用 | 解体費・養生費が不要 | 解体費・養生費が加わる |
新築をするご予定があり、以前から防音室があればいいなとお考えでしたら、ぜひ新築のタイミングでの施工をご検討ください。
防音室は誰に頼む?ハウスメーカーと専門業者の役割分担
注文住宅で防音室を計画するとき、多くの方が最初にハウスメーカーの担当者に相談されます。ここで知っておいていただきたいことがあります。
ハウスメーカーに一括で任せた場合に起きやすいこと
ハウスメーカーは建物のプロですが、建築音響の設計は専門外であることがほとんどです。実際には、防音室の部分だけを下請けの防音工事業者に発注する形になります。
このとき起きやすいのが次の3つです。
- 中間マージンが乗る/同じ工事内容でも、直接依頼するより費用が上がります
- 遮音性能が数値で示されない/見積書に「防音仕様」とだけ書かれ、D値(遮音等級)が明示されないことがあります
- 用途に合わない設計になる/ピアノとドラムでは必要な構造がまったく違いますが、その差が反映されないことがあります
防音室は、完成してから「思ったより音が漏れる」と分かっても、やり直しに大きな費用がかかります。
建物と防音室を分けて発注するのが確実
防音性能を重視したお家づくりでは、建物はハウスメーカーへ、防音室は防音工事の専門業者へという分け方をおすすめします。
| 範囲 | 依頼先 |
|---|---|
| 建物本体・外装・防音室以外の内装 | ハウスメーカー・工務店 |
| 防音室の設計・防音工事・内装 | 防音工事の専門業者 |
工程の調整は業者間で行いますので、お客様が両者の間に立ってやりとりを取り持つ必要はありません。
ハウスメーカーが難色を示したときの伝え方
「他社を入れたくない」と言われることがあります。その場合は、「別途工事」として認めてもらう形が一般的です。
伝え方としては、次のように早い段階で切り出すのが角が立ちません。
「◯畳の部屋を防音室にする予定です。防音工事は専門業者に別途工事でお願いしたいので、工程の調整をさせてください」
あわせて、責任分界点(どこまでがハウスメーカーの工事で、どこからが防音業者の工事か)を書面で明確にしておくと、後のトラブルを防げます。
昭和音響では、ハウスメーカー・工務店との工程調整や、打ち合わせへの同席にも対応しています。また、防音室の施工に理解のあるハウスメーカーのご紹介も可能です。
防音室の費用は住宅ローンに含められる?
含められます。実際に、防音工事の費用を住宅ローンに組み込まれているお客様は数多くいらっしゃいます。
手続きは、不動産会社またはハウスメーカー・工務店が代行してくださるのが一般的です。昭和音響が金融機関とのやりとりを代行することはありませんので、ローンに含めたい旨は、不動産会社・建築会社の担当者に早めにお伝えください。
手元資金を減らさないための、お支払いのご相談
住宅ローンで気をつけたいのが、支払いのタイミングです。
住宅ローンが実行されるのは、通常、建物の引き渡し時です。一方、防音工事の費用を工事中にお支払いいただくとなると、ローン実行までのあいだ、お客様の手元資金から立て替えることになります。新築時は他にも出費が重なる時期ですので、ここは負担の大きいところです。
昭和音響では、防音工事費の最大90%を後払いとし、住宅ローンの実行後にお支払いいただく形にご対応しています。お客様の手元資金が一時的に減ってしまうことを避けるための取り扱いです。
資金計画は早い段階で固まりますので、この点も含めて初回のご相談時にお聞かせいただければ、お支払いの組み立てまでご提案できます。
新築・注文住宅の防音室の費用相場
用途別の費用の目安
木造の戸建てで、新築時に6畳の防音室を作る場合の目安です(税込)。
| 想定用途 | 必要な遮音性能 | 費用の目安 |
|---|---|---|
| ギター・管楽器などの練習 | D-40〜45 | 260万円〜 |
| ホームシアター・オーディオルーム | D-45〜50 | 270万円〜 |
| ピアノの練習室 | D-50〜55 | 290万円〜 |
| ドラム・打楽器 | D-60〜 | 400万円〜 |
同じ6畳でも、用途によって1.5倍以上の差が出ます。ドラムのように強い固体振動をともなう楽器は、床から建物へ振動が伝わるため防振構造が必要になり、そのぶん構造が厚くなるためです。
「坪単価いくら」で判断しないほうがよい理由
防音室の費用を坪単価で示す業者もありますが、防音室では面積が小さいほど坪単価が高くなります。
| 広さ | 費用の目安 | 坪あたりに換算すると |
|---|---|---|
| 3畳 | 200万円〜 | 約135万円 |
| 6畳 | 290万円〜 | 約94万円 |
| 10畳 | 390万円〜 | 約78万円 |
※ ピアノ用(D-50)・木造戸建て・新築時の場合
理由は単純で、防音ドア・換気設備・電気設備・仮設工事は、部屋の広さにかかわらず必要だからです。6畳でも3畳でも、防音ドアは1本必要ですし、換気設備も1式必要です。
昭和音響では1.5畳の防音室を施工した実績もありますが、この広さになると坪あたりの換算は200万円を超えます。坪単価という数字だけで比較しても、判断材料にはなりません。
ご計画の広さと用途を入力すると、その場で概算金額が出るシミュレーターをご用意しています。
新築時に作るほうが安く済む理由
同じ防音室でも、新築時に一緒に作るほうが費用は抑えられます。理由は3つです。
- 解体工事が不要/既存の壁・床・天井を壊す必要がありません
- 養生・仮設が簡略化できる/入居前のため、生活空間を保護する手間がかかりません
- 建物側の工事と重複しない/床の補強や配管を建物工事に含められます
引き渡し後に作る場合、これらが追加費用として乗るため、新築時と比べて数十万円ほど高くなるのが一般的です。
見積もりを取るときに必ず確認すること
高額なご予算をかけて行う工事です。次の3点は必ず実施してください。
- 複数の業者から見積もりを取り、費用を比較する
- 見積書に遮音等級(D値)が明記されているか確認する/「防音仕様」だけでは、何をどこまでやるのかが分かりません
- 一度は担当者と顔を合わせて話す/対面が難しければオンラインでも構いません。提案の内容を聞き、会社の雰囲気を知っておくことが、後の安心につながります
必要な防音性能(遮音等級)の決め方
まず用途を細かく決める
防音室を造る際、最初に決めておきたいのが「どのぐらいの防音対策が必要か」です。そのためには、防音の用途をできる限り細かく設定する必要があります。
同じ「楽器演奏のための防音室」でも、その楽器がピアノなのかギターなのか、それともドラムなのかで、必要な設計も使うべき資材も異なります。
とくに重要なのが、空気音と固体振動音の違いです。
- 空気音(歌声、管楽器など)/床の振動対策までは必ずしも必要ありません
- 固体振動音(ピアノ、ドラム、床を踏む音など)/床の防振対策まで行わないと、設計した遮音性能は実現できません
また、収録を目的とする録音室では、内側からの音を漏らさないだけでなく、外側からの音もシャットアウトする必要があります。
満足できる防音室にする条件のひとつは、防音室からの音を漏らさないことに加えて、外部からの音を遮り、静けさを保つことです。
なお防音には、音を跳ね返す「遮音」と、音を吸収する「吸音」の2つの方法があります。
用途別に、詳しいページもご用意しています。
遮音等級(D値)とデシベルの関係
音の大きさを示す単位がデシベルです。数値が大きいほど、音が大きく響いていることを表します。
| デシベル | 身の回りの音 |
|---|---|
| 30dB | ささやき声・夜の住宅街 |
| 40dB | 図書館・昼の住宅街・換気扇 |
| 50dB | 静かな公園や事務所・小さな声 |
| 60dB | 普通の会話・学校の授業 |
| 80dB | 交通量の多い道路・ギター |
| 90dB | カラオケ・パチンコ店内 |
| 100dB | 電車のガード下・ピアノ |
| 120dB | オーケストラの演奏・生ドラム |
おおむね50dBまでは音が気になりませんが、それを超えると「うるさい」と感じるようになります。
これに対し、遮音等級は、その部屋がどれだけ音を遮れるかを示す数値で、D値(Dr値)で表されます。
たとえば、100dBのピアノの音を、外で40dBまで下げたい場合。100 − 40 = 60 なので、D-60の遮音性能が必要ということになります。
「D-25の家+D-35の防音室=D-60」にはならない
ここが防音工事のいちばん難しいところです。
音は壁や床を通して外へ伝わっていくため、D-60が必要な場合は、建物既存の遮音性能とあわせた複合的な性能でD-60を実現する防音室を作ります。
しかし、既存でD-25の遮音性能がある家に、D-35の防音室を作ればD-60になる——というような単純な足し算にはなりません。
周波数特性、物理量、壁の物理的な厚み、防振性能。これらをすべて計算し、正確な施工をして初めて、設計どおりの遮音性能が得られます。ここが防音工事の難しさであり、専門業者が必要な理由です。
新築で防音室を作るときの流れ(6ステップ)
| STEP | 時期 | やること |
|---|---|---|
| 1 | 土地・ハウスメーカー検討中 | 防音室の用途と、目標とする遮音性能の方向性を決める |
| 2 | 間取り検討中 | 防音工事の専門業者に相談し、概算見積を取る |
| 3 | 基本設計 | ハウスメーカーに防音室の計画を伝え、別途工事として調整する |
| 4 | 実施設計 | 確定した図面をもとに防音設計・本見積。契約 |
| 5 | 建築工事中 | 建築工程にあわせて防音工事を実施 |
| 6 | 竣工前 | 遮音性能の測定を行い、設計性能を確認して引き渡し |
最も重要なのはSTEP2です。間取りが確定してから相談すると、できることが大きく制限されます。
「まだ土地も決まっていないのに相談してよいのか」とためらわれる方が多いのですが、むしろその段階のほうが、ご提案できることは多くなります。
新築の防音室でよくある5つの失敗
1. 部屋が思ったより狭くなった
防音層の厚みを見込まずに部屋の広さを決めてしまったケース。グランドピアノが入らない、といったことが起こります。
2. 天井が低い
とくに組立式防音室を後から入れた場合に起こります。一室丸ごとを防音室にする工事であれば、躯体条件にあわせて最大高で施工できます。
3. 換気の音が気になる
遮音性能を優先して換気経路を無理に設計すると、送風音が室内で目立ちます。静かな部屋ほど、わずかな音が気になります。
4. 遮音性能が数値で決まっていなかった
「防音仕様」という言葉だけで契約してしまい、完成後に「思ったより音が漏れる」と分かるケース。必ずD値で確認してください。
5. 窓を残してしまった
設計段階であれば、防音室にする部屋の窓は最小限にできます。
なお、防音室には一室丸ごとを防音室にするリフォーム式(防音室工事)と、1畳程度から設置できる組立式(簡易防音室)があります。組立式は移設できる反面、天井が低くなり、柱や梁の出っ張りでデッドスペースが生じます。
新築・注文住宅の計画であれば、一室丸ごとを防音室にする方法をおすすめします。お部屋の形状にあわせて設計できるため、デッドスペースが少なく、天井高も確保できます。
昭和音響の新築・注文住宅での施工実績
昭和音響の防音施工は、すべてオーダーメイド設計です。既製品を当てはめるのではなく、建物の構造・お部屋の形状・ご使用になる音源にあわせて、一件ごとに設計します。
- 防音工事の請負実績 1,600件以上
- これまでに納品した防音室 3,000室以上
新築時の防音室の施工経験も豊富にございます。
よくあるご質問
Q. 相談はいつすればよいですか?
A. 早いほど良いです。理想は間取りが固まる前、土地やハウスメーカーを検討されている段階です。この時期であれば、部屋の広さ・位置・窓の有無まで含めてご提案できます。
Q. ハウスメーカーに「うちで対応できる」と言われました。
A. まず遮音等級(D値)がいくつの設計になるのかをご確認ください。数値で示されない場合は、比較のために専門業者の見積もりも取ることをおすすめします。
Q. 何畳から作れますか?
A. 過去には1.5畳の防音室を施工した実績もあります。ただし防音ドアや換気設備は広さにかかわらず必要になるため、狭いほど坪あたりの費用は高くなります。ご希望の楽器や用途によっては、もう少し広さがあったほうが結果的に費用対効果が良くなることもありますので、まずはご相談ください。
Q. 工期はどれくらいかかりますか?
A. 6畳程度の防音室で、おおむね2〜3.5週間です。必要な遮音性能が高いほど構造が厚くなり、工期も長くなります。
Q. 防音工事の費用は住宅ローンに含められますか?
A. 含められます。手続きは不動産会社・ハウスメーカーが代行されるのが一般的ですので、ローンに含めたい旨を早めに担当者へお伝えください。また当社では、工事費の最大90%を住宅ローン実行後のお支払いとする取り扱いにも対応しており、お客様の手元資金が一時的に減ることを避けられます。
Q. 費用を先に知りたいのですが。
A. 条件を入力するとその場で概算が出るシミュレーターをご用意しています。お名前などのご入力は不要です。
まずは、おおよその費用を確かめてみませんか
新築・注文住宅の防音室は、設計段階で相談できたかどうかで、仕上がりも費用も大きく変わります。
まだ計画が固まっていない段階でも構いません。条件を入力するだけで、その場で概算金額が分かります。
ご相談・お見積りは無料です。ハウスメーカーとの調整からご対応いたします。
